- 赤ちゃんは耳にしたどうやって言語を習得しているの?
- 子どもの言語習得は短期間で完成するの?
- 子どもをバイリンガルに育てることってできるの?
そんな悩みを抱えた人におすすめの本を紹介します。
赤ちゃんがことばを学ぶ過程って不思議ですよね。生まれたときは声の出し方もわからないのに、1歳頃にはマンマのようにことばらしき音声をだせるようになり、2歳になれば短い文も話します。
ぼくは、ことばを話せない赤ちゃんの反応をいったいどうやって調べるのかずっと疑問に思っていました。「いま、見えてる?」と赤ちゃんに聞いてもYesもNoもいえないですよね。
そんな時、本書を読んで赤ちゃんのことばの習得に対する誤解が解けました。豊富なデータや実験結果をもとに、赤ちゃんも言語習得にすごく苦労していることがわかりました。
本書は赤ちゃんにどうことばを教えていけばいいか?どうやったら効果的にことばを学ぶことができるのか?という子育てノウハウを教えてくれる本ではありません。
むしろどうやって赤ちゃんが言語習得をしているか?という観察結果が多面的に書かれていて、学問的に非常に面白い本です。
本書は以下の人におすすめしたいです。
私たち夫婦は、年間100冊以上本を読んでいます。その中でもおすすめの本なので、ぜひ読んでみてください!
2019年4月に結婚し、24時間365日ケンカなしで、仲良く過ごしている20代共働き夫婦です。首都圏在住。夫は文系システムエンジニア、妻はメーカー総合職でフルタイムで働いています。2021年3月に息子が産まれ、夫婦で育児休業を取得しました。
「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか?」について
本の内容を簡単に紹介
本書には赤ちゃんがことばを学ぶプロセスについての研究結果が紹介されています。
そういった疑問に答えてくれます。
東京大学で認知科学や発達心理学の研究に従事する著者は、赤ちゃんの「驚き反応」に着目するなどして、人がことばを学ぶプロセスについて明らかにしてきました。
本書を読めば、赤ちゃんの無垢な笑顔に隠れた言語習得の努力に驚かされます。
具体的に目次は以下のとおり。
本書を読むことで、赤ちゃんの言語習得プロセスを学ぶことができます。
赤ちゃん、子どもを育児中な人はもちろん、言語習得プロセスに興味があるひとにも役立つ内容となっています。
著者略歴
東京大学大学院で発達心理学や、認知科学を研究されている針生さんの著作です。
2歳くらいまでの子供たちに研究室に来てもらい、言語や周辺の発達を調べているそうです。
宮城県生まれ。東京大学大学院教育学研究科教授。専門は発達心理学、認知科学。88年お茶の水女子大学文教育学部卒業、90年東京大学大学院教育学研究科修士課程修了、95年同博士課程修了。博士(教育学)。95年青山学院大学文学部専任講師、助教授を経て、03年東京大学大学院教育学研究科助教授、2015年より現職。著書に『幼児期における事物名解釈方略の変化――相互排他性制約をめぐって』(風間書房)、『言語心理学』(編著、朝倉書店)、共著として『レキシコンの構築』(岩波書店)、『言葉をおぼえるしくみ』(ちくま学芸文庫)など。
「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか?」を読んで学んだこと
赤ちゃんの反応を調べる方法は大きく2つある
ぼくはずっと、どうやって赤ちゃんの知識や学習を調べるのかが気になってました。
赤ちゃんはことばで、自分が知っていることは学んだことを説明ができません。
本書によると、大きく2つの方法があるそうなので、紹介します。
①選好法
赤ちゃんは好きな方を選ぶという性質で調べる方法です。
例えば片方の母乳がトラブルを起こしていて甘くないと感じたらその母乳はいらないとふるまいます。それが乳腺のトラブルを教えてくれるサインになります。
また視力を調べる方法も面白いです。
「灰色の長方形」と「白黒シマシマの長方形」を見せると赤ちゃんは後者(シマシマ)を長く見つめます。単純な図形より複雑な図形が好きなことがわかります。
そしてシマシマを細くしていくとただの灰色にしか見えなくなり、赤ちゃんはそのシマシマを見つめなくなります。その幅が分かれば視力がわかるという仕組みです。
②馴化、脱馴化法
2つ目は、同じものばかり見たり、聞いたりしたら飽きて新しいものを見たくなるという性質で調査します。
例えば、赤ちゃんが緑色と青色を区別できるか調べたいとするときは、赤ちゃんに何度も緑色を見せ、赤ちゃんが飽きて緑色を見る時間が短くなったら、青色を見せます。
ここで注意が回復し、青色という新しい刺激を長い時間見るようになれば、赤ちゃんは青色と緑色を認識していることがわかります。
このように地道ですが、AとBを順番に見せて比較するという方法です。
聞いてみると意外と簡単ですよね。ただ調べるのは超大変そう…。
天才に見える子どもでも言語学習はとても難しい
子どもって、自分自身や周りも含め、大人になればみんな日本語を話せるようになっているので、言語習得は簡単にできているのかなって思っていました。
でもそれは誤解でした。
赤ちゃんにとっても言語習得は非常に難しいことです。
赤ちゃんは「あの音とこの音は違う音で」「どの音が同じ音なのか」も自分で見極めなければいけません。男性、女性、さまざまな声で聴かされる文章の中でどこが単語なのかを見極めるのも非常に難しいことです。
いつも楽しそうに見えるのは、子どもが生きている世界は、大人ほど複雑で忙しくなく、シンプルだからです。周りも「小さな子だし、できなくて当然」というマインドなので、失敗に寛容ですよね。
そんな環境だから簡単そうに学んでいるように見えるのです。実際には赤ちゃんが自分で発見を重ね、身近な人と言語で意思疎通できるようになるのは3年程度かかります。
私たちの息子はまだ0歳児ですが、ことばが遅くても焦らず、「頑張って、一つずつ覚えているんだな」とどっしり構えていようと思いました。
バイリンガルに育てるには、赤ちゃんにとってその言語が必要な状況であることが重要
小さいうちに、母語以外の言語に触れさせておけば、子どもは “母語と同じように” その言語も簡単に身に着けられるでは?という考えはよく聞くと思います。
ぼく自身も、小さいうちに英語漬けにすれば少しは話せるようになるのでは?と思っていました。
ただしそれはかなり期待しすぎな考えであることがわかりました。
結論、こどもは母語であろうとラクして学んでいるわけではなく、時間はかかり、相当な努力をしています。それはこどもにとって母語を学ばないとまわりとコミュニケーションがとれないという「必要だと実感する環境」があるからです。
なので、1歳前後のこどもに、生活の役に立たない外国語のオーディオやビデオは必要性が実感できるどころか、なんだかよくわからない音の流れにしか聞こえないはずです。
※これとは別に英語耳を作れるのか?というのは別の文献で調べてみたいと思います。
こどもに英語を学んでもらいたいのであれば、自分から学びたい!と思える環境を準備してあげるのが一番なのかなと思いました。
例えば、親が、毎週外国人の友達を家に読んで話をする環境を作るとか、海外に移住して英語をスタンダードにする、などが思いつきます。
まだ息子は0歳児なので、今後どういう子育ての方針でいくか考えるいいきっかけになりました。
「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか?」のまとめ
本記事では「赤ちゃんはことばをどう学ぶのか?」を読んで学んだこと・考えたことを紹介しました。
赤ちゃん、子どもを育児中な人はもちろん、言語習得プロセスに興味があるひとにもおすすめしたい良書です。
本記事で紹介した以外にも、さまざまな面白い実験結果が掲載されているので、ぜひ読んでみてください!
夫婦の育児体験談は音声配信でも配信していますのでよろしければそちらもお聴きください。お好きな配信アプリで無料で聞けるのでお気軽にどうぞ。
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