- 妊娠や子育てはまだ経験がなくて不安。
- 出産は怖くて乗り越えられる気がしない。
- 子どもができてしばらく経ったからあの頃の気持ちを思い出したい
そんな人におすすめの本を紹介します。
ずばり、芥川賞作家、川上未映子さんの「きみは赤ちゃん」というエッセイです。
テーマは「妊娠・出産・子育て」。
本書は、妊娠が判明したときから、出産を経て、1歳の誕生日まで、出産・育児という誰もが直面するビッグイベントを、芥川賞作家の鋭い観察眼で赤裸々かつユーモラスに描いた作品です。
私たち夫婦は育児中に読んだのですが、妊娠・出産のことを思い出し、さまざまなシーンで共感したり、「え?そんな家族もいるのね」と驚いたり、どんどん物語に引き込まれました。
性別に関わらず、子育て経験の有無に関わらず、単純にエッセイとしても面白いです。
それでは、本記事で感想や学びをシェアしていきたいと思います。
2019年4月に結婚し、24時間365日ケンカなしで、仲良く過ごしている20代共働き夫婦です。首都圏在住。夫は文系システムエンジニア、妻はメーカー総合職でフルタイムで働いています。2021年3月に息子が産まれ、夫婦で育児休業を取得しました。
「きみは赤ちゃん」について
本の内容を簡単に紹介
5歳ではじめての出産。それは試練の始まりだった!
芥川賞作家の川上未映子さんは、2011年にやはり芥川賞作家の阿部和重さんと結婚、翌年、男児を出産しました。
つわり、マタニティー・ブルー、出生前検査を受けるべきかどうか、心とからだに訪れる激しい変化、そして分娩の壮絶な苦しみ……
妊婦が経験する出産という大事業の一部始終が、作家ならではの観察眼で克明に描かれます。時にユーモラスに、時に知的に、子供をもつということの意味を問いかけます。
さらに出産後の、ホルモンバランスの崩れによる産後クライシス、仕事と育児の両立、夫婦間の考えの違いからくる衝突、たえまない病気との闘い、卒乳の時期などなど、子育てをする家族なら誰もが見舞われるトラブルにどう対処したかも、読みどころです。
これから生む人、すでに生んだ人、そして生もうかどうか迷っている人とその家族に贈る、号泣と爆笑の出産・育児エッセイ!
Amazonより引用
本書は、妊娠が判明したときから、出産を経て、1歳の誕生日まで、出産・育児という誰もが直面するビックイベントを、芥川賞作家の鋭い観察眼で赤裸々かつユーモラスに描いた作品です。
妊娠や出産について時系列の短編で話が進んでいきます。
具体的に目次は以下のとおり。
私たち夫婦も妊娠~出産を経験しましたが、よくこんなに1人の体験談を面白おかしく書けるなあと感激してしまいました。
1話ずつ起承転結があり、少しずつ読み進めるのもおすすめです。
著者略歴
「乳と卵」で芥川賞を受賞した、川上未映子さん。
最近だと、精子提供をテーマにした「夏物語」が評価され、世界の有名作家の仲間入りを果たしました。
本書は、そんな川上未映子さんの私生活のリアルを描いたエッセイです。
輝かしい経歴の著者には、妊娠、出産、育児の波乱万丈な日々はどう映るのか?という目線で読むのも楽しいですよ。
大阪府生まれ。2007年、デビュー小説『わたくし率イン 歯ー、または世界』で第1回早稲田大学坪内逍遥大賞奨励賞受賞。2008年、『乳と卵』で第138回芥川賞を受賞。2009年、詩集『先端で、さすわ さされるわ そらええわ』で第14回中原中也賞受賞。2010年、『ヘヴン』で平成21年度芸術選奨文部科学大臣新人賞、第20回紫式部文学賞受賞。2013年、詩集『水瓶』で第43回高見順賞受賞。短編集『愛の夢とか』で第49回谷崎潤一郎賞受賞。2016年、『あこがれ』で渡辺淳一文学賞受賞。「マリーの愛の証明」にてGranta Best of Young Japanese Novelists 2016に選出。村上春樹との共著『みみずくは黄昏に飛びたつ』、『すべて真夜中の恋人たち』など著書多数。
2019年、第73回毎日出版文化賞受賞した『夏物語』は、20年ニューヨーク・タイムズが選ぶ「今年読むべき100冊」やTIMEの「今年のベスト10冊」などにも選ばれ、現在40カ国以上で刊行が進められている。
Amazon紹介文より引用
「きみは赤ちゃん」を読んだ感想・学んだこと
きみは赤ちゃんを読んだ感想!
他者の妊娠・出産の追体験ができるのが面白い
「妊娠出産エッセイ」を読むのは初めてだったのですが、他者の妊娠出産の追体験ができるのが面白いな。と思いました。
妊娠~出産って一生に何回も経験できることではない、ビッグイベントだと思います。
その割には、少しナイーブなテーマであるため、他人の経験談ってあまり体系的に知れないんですよね。
仲良しすぎる友達とかに出産の辛さとか、旦那との関係とか聞くのって少し恥ずかしいと思います。
「きみは赤ちゃん」は、いい意味で他人の(そして表現力抜群の)、川上未映子さんの実体験を、時系列で面白おかしく読めてしまうところに価値があるなあと思いました。
描写力・表現力がリアル引き込まれる
作中の、妊婦用マッサージに代わるエアロビ体験とか、なかなか親としての当事者意識を持てない夫との掛け合いとか、隣にいる夫婦の会話をのぞき見しているようにリアルな描写が続きます。
めちゃめちゃ話言葉で書かれていて、川上未映子さんが興奮したときは、まくしたてるように文章が続くので、人によっては、苦手かもしれません(笑)
たとえば。あるとき、わたしが現在妊娠何週の状態であるのか知っているのか、ときいてみたら、知らなかった。まずそれにかちんときた。25週やで、とわたしはいちおう伝えてみた。
本書より引用
そして、後日、妊娠25週目のおなかの赤ちゃんがどんな状態か、知ってる? ときいてみた。たとえば映像情報でも、文字情報でも、おなかの赤ちゃんがいまどれくらい成長しているのかとか、そういうこと知ってる? と。でも、あべちゃんは知らなかった。わたしはそれに対して急激に怒りがこみあげた。
というのも、そういうのはネットで検索すればいくらでも知ることができる情報であり、そしてあべちゃんは一日に28時間くらいネットにつながっているからで、なにをそんなにみているのか見当もつかないし、目が疲れないのかとか、玉石混淆すぎる情報にまみれてしんどくならないのかとか、そばでみているだけでもまじでぐったりするのだけれど、とにかく、あれだけ日々ネットにつながっていてときにはしょうもない情報を読んだりしているはずなのに、その時間はたんまりあるはずなのに、われわれの一大事であるはずの妊娠、ひいてはわたしのおなかの赤ちゃんについてただの一度も検索をしたことがない、ということに、わたしはまじで腹が立ったのである。これはたんに興味がないだけの証拠じゃないか!
例えば、妊娠何週目で、子どもがお腹の中でどれくらい育っているのか、夫が知らなかったときの上記のセリフ。
1文でまくしたてるように攻めてきます(笑)
こういう、飾らない文章は好みが分かれると思いますが(実際にAmazonレビューも高評価と低評価の二極化)、ハマる人にはとってもハマる、引き込まれる文章だと思います。
自分と重ねることで、懐かしい気持ちになれる
私たち夫婦は、出産を終えて子育て中にこのエッセイを読みました。妊娠のときのつわりの辛さ、お腹に赤ちゃんがいる幸せだけど不安という不思議な感覚。
妊娠が発覚した時に感じた、まだまだ自分も子どもだと思っているのに、子どもができて、責任を持って育てられるのかな。という漠然とした不安。
出産直前に感じた、いよいよ、一世一代の勝負の時だな、という緊張感。
そんな妊娠~出産中の自分の思い出がフラッシュバックして、懐かしい気持ちになれます。
妊娠・出産を経験する前の人は、覚悟ができる
もちろん、まだ妊娠・出産を経験していない人、特に男性にもおすすめできます。
妊娠~出産がどれだけ奇跡的なできごとで、色々な苦労があって、でもそれを超える喜びがあって。
他人の経験を追体験して、予習しておく、そんな使い方もできるんじゃないかなと思います。
このエッセイを読んだ後に、街中で妊娠している人や子育てしている人を見ると、尊敬が止まらなくなりますよ。
「きみは赤ちゃん」のまとめ:妊娠出産を追体験できるおすすめエッセイ
本記事では「きみは赤ちゃん」を読んだ感想・学んだことを紹介しました。
赤ちゃん、子どもを育児中な人はもちろん、まだそういった経験がない人や男性にもおすすめしたいエッセイです。
ぜひ手に取って読んでみてください。
夫婦の育児体験談は音声配信でも配信していますのでよろしければそちらもお聴きください。お好きな配信アプリで無料で聞けるのでお気軽にどうぞ。
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